本音で生きる事ができている人は知っている「本音」と「建前」の使い分けのルールはこれだ

本音と建前を使いわける、って難しいですよね。
自分に正直に生きたいし、でも社会の中でうまく生きていきたい。
でも、どうしていったら良いのかわからない・・。

そんな悩み、ありますよね。

今はこの「ルール」を知ったので失敗することが少なくなったのですが、そういう私も本音と建前の使い分けで失敗したことが何度もありました。

もう何年も前の話になりますが、私が大企業のサラリーマンだった時代です。
当時は社内SNSを用いたコミュニケーションが流行り出したときで、私が働いていた会社でも社内SNSを導入することとなりました。
まだチャットワークもスラックもありませんでした。

私が働いていた会社はIT企業だったため、顧客に対して社内SNSのようなコミュニケーションシステムを提案する立場でもありました。
そのため、この社内SNS導入はこの会社が大きく変わる機会だと思い、プロフィールのところに当時業界内で有名だった方の記事を貼り付けて、社内SNSへの期待を綴ったのです。
その記事には社内コミュニケーションがオープンでフラットなものとなり生産性が上がる、そのためには公私問わず情報を発信していきましょう、のようなことが書かれていたと記憶しています。

その後、私は課長、部長から呼び出され、反省文を書かされるという結果になりました。
当時私が所属していた部署では、部外の人とのコミュニケーションは部長の許可なしでは許されておらず、部内では社内SNSを上意下達のツールとして利用するローカルルールの策定を行っている最中であり、一般社員による発信は全く想定されていなかったということが理由としてはありました。
その反省文も私が間違えたことをしたこと、そして今後の上司への忠誠をはっきりと書くまで何度も何度も修正要請があり、結果的に本来やるべきだった仕事が2日ほど遅れてしまい、当時のお客様や取引先に対して向き合う時間が少なくなってしまいました。
今思えば、完全に無駄な衝突をしてしまい本来お客様に使うべきだった時間や気力を別のところに使う結果となってしまいました。

逆に、本音ではなく建前で動いて失敗したこともあります。

独立してから有り難いことにたくさんにお仕事の機会を頂いて今に至りますが、ある時にお世話になっている方からお仕事のお誘いがありました。
正直あまり乗り気ではなかったのですが、会社としての実績になり、さらに売上も上がる、そしてお世話になっている人の誘いだからという理由で引き受けることにしました。
その仕事内容自体をあまり魅力的に感じていないのに、です。

いくつかのプロジェクトを回している中でどうしてもその仕事の優先順位が下がっていくようになりました。
それでもなんとか納期に間に合わせようと勧めましたが、数多くのミスをすることになりました。
結果的にお世話になっている方にもご迷惑をかけてしまう結果となってしまったのは、乗り気ではないのにも関わらず「会社として売上を増やすべきだ」という建前に従って行動したことが原因です。

そんな数多くの失敗を繰り返しながら、やっと本音と建前をうまくバランスを取る方法にたどり着きました。
大企業、海外、起業と様々な立場を見てきてからこそわかるのですが、この方法は組織の規模や文化に関係なく使える万能な考え方だと思います。

本音で生きるのが一番大事

基本的には自分の本音に正直に生きるべきだと考えています。
私の失敗例のように「本当はこんなことやりたくないんだけどな」と思いながらなにかに取り組んでいても、なかなかやる気や気力が出ないものです。

いくら知識やスキルがあっても、やる気が無いのであればうまくいくイメージは持てないですよね。
そのやる気の源泉こそが「本気でやりたい」「本気で目指したい」「こうなりたい」というあなたの本音。
その本音で従って進んでいくことが、仕事も人生も「自分にとって望ましい」方向に進む秘訣です。

本音の良し悪し、不順な動機なんてものはない

こんなこと言ったらかっこ悪いかな・・・
これはさすがに言えないよな・・

そんな本音だとしても、その本音をまずは認めていきましょう。

大学生や若手社会人のキャリア相談を受けることがあるのですが、その時にこんな本音が聞こえてきます。

  • お金を稼ぎたい!だからコンサルを志望します
  • モテたい!だから広告を志望します
  • 海外で働きたい!だから商社を志望します

普段はそんな事言わないのですが、飲み会などでこんな本音がポロッと漏れてくることがあります。
ちなみに、キャリアアドバイザーとしてはこのような本音はどんどん出してほしいと思っています。
「そんなんじゃダメだ」という大人の意見は何の役にも立たないので無視しましょう。

まずは自分の本音を自分自身で認めることが重要です。

本音で大事なのは良し悪しではなく、その大きさです。
本気で強く願っていることであれば、その動機が不純なものであれ活力、気力、やる気が湧いてきます。

あなたの本音はあなたを動かす原動力なのです。

目標が間違っている人が多いので要注意

こうなりたい!という本音に対して、その目標が間違えているということがよくあります。

「海外で働きたい!だから商社を志望します」という学生さんがいたとして、本当に海外に行くために一番ベストなルートは商社に入社することなのでしょうか。
確かに大手商社は海外にたくさんの駐在員を置いていますが、その駐在員への道程はエリートが競い合うとても熾烈な選抜かもしれません。
もちろん、そのような環境に身をおいて切磋琢磨したいというのであれば、ぜひその道で頑張って欲しいと思います。

しかし、海外に行くことが目的であれば、実は比較的簡単に、そしてすぐに海外で働く方法はたくさんあるはずなのです。
そういった話をしても「それでも商社が良い」という学生さんの中には、話していくうちに「海外で働く」と同じくらい大事な「モテたい」とか「お金持ちになりたい」とか「なんとなくかっこいい」と言う別の本音が出てくることもあります。

幸せになりたいから、お金を稼がないといけない
そう思っている人も多くいるように思えます。
しかし、本当にそうなのでしょうか?

幸せのカタチは一人一人違っていて、お金持ちになることだけが幸せじゃないということを沢山の人を見て学んできました。
お金を稼ぐことが得意であり、苦ではないひともいるかもしれませんし、お金がなくても日常から幸せを見つけるのが上手い人もいます。
幸せになるためにお金を稼ぎたくて、四六時中働いている。そんな状態、幸せじゃないですよね。
これも、幸せになりたいという目的と、お金を稼ぐという目標がずれている状態なのです。

本当にやりたいことを実現するために、本当にこの目標で良いのか?
そう自問自答することはとても重要です。

その後やっていくうちに見えてくるものもあるので軌道修正をしていくこともあるでしょう。
そんな中で別の本音が見えてきたり、またはその目標がずれているということもあります。

そんな時は本当の本音、そして本当の目標を設定し直して進んでいき、時には思い切って今までやってきたことから方向転換することもあるかもしれません。
それが、常に自分の本音に従って生きるということなのかなと思います。

まずは自分のため、不純な動機で良い

先ほどは本音に良し悪しも無ければ、不順な動機などないという話をしましたが、実はこれは半分ウソです。
実は私達人間は他者や社会という外部に対して貢献をしていく時に最も力が出るということがわかっているからです。
なぜそうなるのか、を説明するのはまた別の機会にしたいと思いますが、今のところは「ふーん、そういうもんなんだ」と思っておいていただければ十分です。

歴史上の偉人や大きなことを成し遂げた人の多くは「社会のため」「世界のため」という思いで行動してきました。
スティーブジョブスはひどい人間だった、そういう記事も読みましたが、彼は「社会にイノベーションを起こす」ために様々な商品を生み出してきたのだと思います。
社会を変えるためには、変人と言われることも気にしなかったのではないでしょうか。
その結果、私達の社会はとても豊かになりました。

幕末に活躍した薩長藩士も「新しい日本」のために奔走し、明治維新を成し遂げました。
もちろん自らの名誉のためでもあるかもしれませんが、日本という社会を変えることが彼らの目的だったのです。

じゃ、やっぱり「社会に貢献」のような事を言ったほうが良いのではないか、
そう思う方もいるかもしれませんが、そんな事はありません。

自分が満たされていないと、他社を満たそうという気持ちは出てこないものです。
本心から「世界のために」という言葉が出るのであればそれに従っていけば良いのですが、建前として出てきた場合は一旦本音に立ち返るようにしましょう。
そうして出てきた本音が「モテたい」「お金持ちになりたい」であれば、まずはそこに向けて全力で進んでいきましょう。

「目標が間違っている」「他の本音が出てきた」ということもあるかもしれません。
そういうときはどんどん軌道修正をして進んでいきましょう。

そうするうちに自分自身が満たされてきて、誰かを満たしていきたい、そういう気持ちが本音として芽生えてくるはずです。
そのためにも、まずは今自分が本当に成し遂げたいもの、目指したいものを目指すようにしてみてほしいです。

建前を活用する、そのための知っておくべきルール

ここまでは本音で生きていくことがいかに重要かということをお話させて頂きました。
本当にやりたいことでないと気力、活力、やる気等といったものが出てこないからです。

それでも、この社会で生きていくためには建前をうまく使う必要があるのも事実です。
自分の中の本音と折り合いをつけてうまく建前を使っていく方法をお伝えします。

譲れない価値観に集中する

まず、あなたにとっての本音(≒大事な価値観)を以下の3つに分類してみてください。

  1. 絶対に譲れないもの
  2. できるだけ大事にしたいもの
  3. 譲ってもいいと思えるもの

1番目の「絶対に譲れないもの」は多くても5個程度にしてください。
もし多すぎるようであれば「より大事にしたいもの」に絞っていってください。
諦めるのではなく、達成するまでは一旦優先順位を下げるだけです。

2番めの「できるだけ大事にしたいもの」は、あなたが持っている本音(価値観)の中で15%程度をここに入れるようにしましょう。
本音(価値観、目指したい方向性、やりたいこと)を付箋に全て書き出した時に、6つの中で1つというくらいのイメージです。

そして、残りは3番めの「譲ってもいいと思えるもの」に入れておきましょう。

もちろんこのリストは定期的にアップデートしていってOKです。
順番が入れ替わることもあれば、今まで大事だと思っていたものがリストから消えるかもしれません。

今後、価値観が衝突することがあれば「譲ってもいいと思えるもの」はどんどん本音を引っ込めていくようにしましょう。
本音で生きることが大事!と言っていたのに、本音を言わないんですか?
と思った方もいるかもしれませんが、自分にとって本当に大事にしたい本音(価値観)に集中することが一番重要です。

全てが思い通りに行くなんてことは絶対にありません。
その中でも、本当に大事にしたいことだけ守ることができたら、それは十分本音で自分がやりたい人生を生きていると言えるのではないでしょうか。
そういう状態を進んでいくことで、どんどん自分が大事にしたい価値観に取り組む時間が増えていくはずです。
つまり、「譲ってもいいと思えるもの」を捨てることが、結果的に「本音で生きる」ことに繋がるのです。

「絶対に譲れないもの」「できるだけ大事にしたいもの」は手帳などに書き留めておくのがおすすめです。
何か迷った時、見かえることで自分がやりたい方向に進んでいくことができるからです。

疲れている時、ネガティブな時、安易な道に流れようとしてしまい、元々大事にしていたことを忘れてしまうものです。
ダイエットが大事!と言っていたのについ大盛りのラーメンを食べてしまうようなものです。
そんなときでも「本当にやりたいこと」に立ち返れるようにしておくのも大事です。

そもそも建前を使うルールということもある

これは身も蓋もないことなのですが、建前を言うことがルールとなっていることもあります。

例えば、就職活動で言う「御社が第一志望です」と言う言葉。
会社によっては「本当のことを聞きたい」と言う会社もあれば「第一志望以外は落とす」(公言はしませんが)という会社もあり、難しいのですが「第一志望と答える」ことがある程度暗黙の了解になっているかもしれません。

「それでも嘘は言いたくない」
という気持ちもよくわかります。
そんな人におすすめなのですが「現時点では御社が第一志望です」と答えること。
「現時点では」は声に出さずに心で唱えるだけでも良いです。

現時点というのは、今、面接で質問をされているこの瞬間のこと。
明日には変わっているかもしれないし、この部屋を出たら変わっているかもしれない。
それでも、今その質問を受けたこの瞬間は御社が第一志望なんです。
これが心の声。

これであれば、嘘ではないですよね。
この受け答えが正しいかどうかは置いておいて、処世術としては有効でしょう。

または「上司の言うことは絶対」という企業があったりもしますし、「どう?今日のファッションイケてない?」と言ってくる先輩には「そうですね」と答えるものです。

お土産を渡す時に「つまらないものですが・・・」といって渡すのも、もはやそういうしきたりと言うだけであり、「本当はつまらないものじゃないから言わない」とはならないですよね。
(余談ですが、アメリカでは「あなたのことを考えて最高のものを持ってきました」というのがしきたりなので、国や相手によって変わることもあります)

もはや「そういうもの」としか言えないものもあります。
その業界の慣習を人生を賭して変えたい、そう思うのではない限り、従っておくのが無難です。

衝突する場合は決断が必要

本音で生きていったときに衝突が生まれることもあります。
そのようなときには決断が必要となります。

決断とは、その字の通り「決めて」「断つ」こと。

例えば、冒頭でお話した私が反省文を書くこととなった失敗例の場合は、呼び出された時にこのような選択肢がありました。

  • 「それでも社内SNSはオープンで活用スべき」と主張し続けること
  • 「私が全て間違えていました」と文章で反省を示すこと

自分が本当に言いたいことを伝えている場合は上司の怒りを買い、最悪出世の道が閉ざされたり、首になるというリスクがあったかもしれません。
そこまでして、自分はこの意見を通したいのか?その必要があるのか?
そう考えると、自分にとっては全然重要ではないということを「決断」し、反省文を書けという指示に、その文章の内容も含めて全て従いました。

当時から「幸せな働き方」「生産性向上」に興味があったので、社内のコミュニケーション活性化に期待をしていたのは事実です。
しかし、私にとって大事だったのは(当時の肩書ではほぼ不可能な)会社を変えることよりも、目の前のお客様の課題を解決すること、そして自分の仕事を終わらせることでした。
正直書いたときはここまで大きな衝突が起こるとは全く思っていませんでしたが、衝突してしまった以上決断が必要だったのです。
もっと言えば「これは衝突しそうだなぁ」と感じた時点で決断をして衝突を避ける(または衝突してでも進むと決める)ほうが、時間や気力を使うこともなくなります。

このように本音で生きていくときには衝突が発生することもあり、色々と消耗してしまうのも事実です。
しかし、本音で生きていくからこそ気力、活力、やる気が湧き上がっていくことも事実です。
そのためには自分にとって本当に大事にしたい、絶対に譲れないものだけを通して生きていくことが重要になってくるのではないでしょうか。
そのプロセスの中では仕事をやめたりすることもあるかもしれませんが、それは必要な痛みであることが多いでしょう。

自分にとって大事な価値観を通して過ごしていくと、同じようなことを大事にしている人が周りに集まってきているはずです。
そうなった時に、優先順位を下げていた本音に対して取り組んでいくのも良いでしょう。

本音で生きるための5分を今使おう

ということで、本音で生きていきつつも、建前を活用していくことで、結果的に本音で生きていることになるというお話をさせていただきました。
自分が本当にやりたいこと(=本音)をしている時は活力がみなぎりやる気に満ちてきます。
もちろん、スキルなども必要ですが、成功に近づいていくようなイメージが湧きますよね。

まず第一歩は「絶対に譲れないこと」に絞って進んでいくこと。
そして、それ以外のことは衝突したときのリスクなども考えながら「建前」で隠しながら過ごしていく。

そのために、今すぐ自分の本音を3つに分類して、手帳に書くところから始めてみることをおすすめします。
普段から自分がやりたいことを考えているのであれば5分、そうじゃなくても30分もあれば「現時点での」本音を書くことができると思います。
そこからたまに見返してはアップデートしていく。
それだけでやりたいことをして生きる人生に繋がっていき、本音をどんどん出せるようになると思っています。

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