今回は複業やフリーランスとなるための第一歩である「開業届」の書き方・提出方法・注意事項についてご紹介します。
「開業届」という名前のとおり、これから業務を開始しますという届けで、税務署に提出します。
そう聞くと、とても難しそうな手続きのように思えますが、実は1枚の書類に捺印して税務署に送るだけ。
開業届と一緒に青色申告届も提出することで「青色申告特別控除」として、所得から最大65万円が控除されるようになり、税金が安くなります。
是非一緒に提出しましょう。
サクッと読める目次
開業にあたって必要なこと
正式には「個人事業の開廃業届出書」という書類で、これから個人事業を始めますよ、というものです。
その名の通り、個人事業を廃業(辞める)際も同じ書類を提出します。
実はこれを提出しなくても罰則はなく、事業を行うことができるのですが、後述する「青色申告特別控除」を受けるためには開業届の提出が必須であり、結果的に提出したほうが税金的に特なのです。
一部のブログなどで提出しなければ収入が税務署にバレないと書かれていることもありますが、それは明確に脱税なので辞めましょう。
開業する際に決める「屋号」とは?
開業する際に「屋号」というものを決めることができます。
言ってしまえば会社名のようなもので、その屋号名で銀行口座を解説することも可能となります。
屋号はなくても問題はないのですが、名刺に印刷したり、公式サイトを作ったり、銀行口座を作ったりすることを考えると、ちょっとテンションがあがるのではないでしょうか。
ちなみに、屋号はなし(空欄)での提出も可能です。
その場合は、「個人事業主 山田太郎」のように本名でビジネスを行うことになります。
青色申告?白色申告?
素色申告と白色申告を選ぶこともできます。
結論からいえば、これは青色申告一択で間違いありません。
青色申告とは、複式簿記による経理を行います、というもので、昔は青い用紙を使っていたことが名前の由来です。
ちなみに、白色申告はより簡単な単式簿記(お小遣い帳をいイメージしてください)で帳簿をつけることができますが、逆に会計ソフトでは難しくなってしまいます。
複式簿記と聞くと難しそうと感じる方も多いかもしれませんが、今はクラウド会計ソフトなど簿記の知識がなくても経理ができるソフトがたくさんありますので、大丈夫です。
もちろん、この機会に会計知識をつけようとに簿記3級を勉強してみるのも良いかもしれません。
青色申告特別控除で65万円の所得控除
青色申告をすると何がいいのかというと、この65万円の所得控除が受けられるられること。
それにより、支払う税金が安くなります。
ざっくりと説明すると、毎年支払う税金は以下のように決まります。
「所得( = 売上 - 経費 - 所得控除) × 所得税率」
日本は累進課税のため、所得税率は所得の額により異なってきますが、その所得が多ければ多いほど、支払う税金が多くなります。
なので、
所得控除がたくさんあれば、それだけ支払う税金は少なくなるとうことです。
ちなみに、青色申告特別控除以外にもこのような控除があります。
- 基礎控除:38万円(全員)
- 青色申告特別控除:65万円(青色申告届けを出した者)
- 社会保険料控除:年金や健康保険料等の支払った額
- 生命保険料控除
- 小規模企業共済等掛金控除
まずは、基礎控除と青色申告特別控除、そして社会保険料控除が基本となる控除です。
帳簿をつけ始める
事業が始まったら帳簿をつける必要があります。
会計ソフトは色々ありますが、パソコンが壊れたりしても安心なクラウド型がおすすめです。
人気のソフトは以下のものが人気で、MFクラウド確定申告の法人版のMFクラウド会計は私も使用しており、とても使いやすいです。
詳しい使い方や、確定申告についてはまた別の記事で紹介します。
開業届と青色申告届を書く
開業にあたって準備は進みましたでしょうか。
では、いよいよ税務署に開業届を出しましょう。
なお、開業届は開業後1ヶ月以内に提出しなければならないと決まっています。
開業を決めたらすぐに出すようにしましょう。
まず、所管税務署を調べる
どちらの書類も、最初に所管税務署に対して提出することとなり、税務署名を記入する必要があります。
国税庁のウェブサイトより、あなたの住所の所管税務署を調べてみましょう。
郵便番号から、所管税務署を調べることができます。
その税務署が、あなたが書類を提出したり、今後納税などを行っていく税務署です。
開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)の書き方
開業届、正式には「個人事業の開業・廃業等届出書」は国税庁のウェブサイトからダウンロードできます。
ここの「個人事業の開業・廃業等届出書(提出用・控用)(PDF/364KB)」というところをクリックするとPDFがダウンロードされます。
そのままパソコン上で書き込めるようになっておりますので、書いていきましょう。
基本的な書き方は以下のとおりです。
納税地:「住所地」を選択し、あなたの住所、電話番号を書いてください。
上記以外の住所地・事業所等:記載不要(複数店舗を運営している場合等は記載します)
氏名・個人番号:正確に記入しましょう。マイナンバー(個人番号)も必須です。印鑑はなんでもOKです。
職業:フリーランスの場合は「個人事業主」、複業の場合は「会社員」などになるでしょう。
届け出の区分:「開業」に丸をつけます。
所得の種類:事業(農業)所得に丸をつけます。
開業・廃業等日:開業日を記載します。
開業・廃業に伴う届出書の提出の有無:「青色申告承認申請書」の有に丸をつけます。(青色申告承認申請書の書き方は後ほど解説します。)
事業の概要:具体的にとありますが、例えば「ウェブサイトの運営及びアフィリエイト」「セミナーの企画・運営」のようなもので大丈夫です。正直に書きましょう。
その他の項目は、小さく一人で始める個人事業の場合は基本的には空欄で大丈夫です。
自分以外の従業員を採用して給料を払う場合等は、別途記載及び書類の提出が必要です。
もし書き方が心配な場合は、税務署の窓口に空白で持っていって、そこで書き方を教えてもらうこともできます。
脱税さえしていなければ、税務署は優しいですよ。
青色申告届(青色申告承認申請書)の書き方
青色申告承認申請書も国税庁のウェブサイトからダウンロードできます。
ここの「所得税の青色申告承認申請書(PDF/329KB)」というところをクリックするとPDFがダウンロードされます。
そのままパソコン上で書き込めるようになっておりますので、書いていきましょう。
基本的な書き方は以下のとおりです。
上の住所等:個人事業の開業・廃業等届出書と同じ内容
1.個人事業の開業・廃業等届出書:屋号及び住所。名称は空欄でも大丈夫です。
2. 所得の種類:事業所得
4. 業務開始日:個人事業の開業・廃業等届出書と同じ日付
6.その他参考事項(1)簿記方式:複式簿記
6.その他参考事項(2)備付帳簿名:最低限「総勘定元帳」「仕訳帳」があれば大丈夫です。
最低限必要な項目は以上です。
その他の項目は必要に応じて記載してください。
こちらも、税務署の窓口で教えてもらうこともできます。
税務署に提出する
さて、いよいよ税務署に提出です。
提出方法は「郵送」「窓口」の2種類があります。
窓口の場合は税務署へ行き、そのまま提出しましょう。
郵送の場合も、郵便で送るだけです。
念のために、記録が残る配達記録郵便で送ると安心ですね。
「個人事業の開廃業届出書 在中」と書いてあればよいでしょう。
なお、郵送後に、特に受領しましたという連絡はありません。
受領証の1枚くらい送ってくれても良いと思うのですが・・・。
以上で、開業届の提出は完了です。
終わってみれば、「あれ、こんなに簡単なの?」と拍子抜けすると思いますが、これがあなたの新しいビジネスの始めの第一歩。
これからしっかりと稼げるように、頑張っていきましょう。