3月8日、金融庁が仮想通貨交換業者7社に対して行政処分を行いました。
コインチェックのNEM流出事件を受けて、仮想通貨交換業を行う会社を立入検査をした上での処分であり、3社が仮想通貨交換業を廃業することになりました。
今後の仮想通貨業界への影響はどうなるのか、考えてみます。
金融庁による処分の内容のまとめ
金融庁からの処分は、業務停止は2社であり、残りの業者に対しては体制強化及びその報告をさせるという処分となっております。
ですので、現在運営されているサービスが急に使えなくなることはありません。一度、ここにまとめてみますと、
- 「ビットステーション、ビットエクスプレス、来夢」の3者は廃業することになりました。
- 「FSHO株式会社」は4月7日まで交換業を行えなくなりました。
- その他の業者は従来通り営業を続けます
という状況です。
マネーロンダリング防止のための取引時の本人確認や、顧客資産保全のためのシステム・社内体制が重点的にチェックされているようです。
また、先日高速取引が登録制となると発表がありましたので、そのあたりもチェックされていると思われます。
今後の仮想通貨業界への影響を考える
今回の金融庁による処分ですが、私としては今後の仮想通貨業にとって良いニュースになったと考えています。
もちろん、処分を下された業者の方々は非常に大変な状況に置かれているとは思いますが、顧客資産の保全は我々仮想通貨の利用者にとっていちばん重要な関心事項ですし、マネーロンダリング防止の国際的な枠組みにはしっかりと取り組んでいかなければなりません。
海外生命保険などの話題では、金融庁の規制により「日本居住者は金融庁の認可した保険商品しか購入できない」というものがあり、こちらはもう少し自由になって欲しいという気持ちもあるのですが、今回の日本国内で営業を行う業者に対して一定の基準を求めるというものは、仮想通貨業界を安心して利用でき、そして発展させていくための規制強化だと考えています。
ただ、一部の海外業者が日本国居住者に対するサービス内容を縮小するなどの動きも一部で起きており、このような自己責任による海外業者の利用を制限する方向にはなってほしくない、という思いもあります。
銀行や証券業は各国の厳しい規制の中で営業をしており、その規制のお陰で我々利用者は安心して資産を預けたり、取引を行うことができています。
将来的には、取引所は分散型取引所となり、流出のリスクもなくなり、また、取引所の信用情報もブロックチェーンで管理されていくこととなると思いますが、それまでの過渡期の対応としては金融庁などの第三者機関によって運営の実態を明らかにして評価が行われることで我々利用者は安心して取引ができますよね。
コインチェックの大塚氏による「いまさら聞けない ビットコインとブロックチェーン」という本では「顧客の資産は完全に分離されており、コールドウォレットに保管されているためMt.Goxのような事件は起こりえない」と書かれていました。
本の内容自体は仮想通貨の入門者にとってとても良いものなのですが、その記述が皮肉にも「運営者の情報を鵜呑みに信じる訳にはいかない」という証明になってしまったと思います。
金融庁や第三者機関による評価を参考にした上で、自己責任において(認可外の業者も含めて)使う業者を決めていく、そういう状況が本来は望ましいのではないでしょうか。
※日本ではこの類の自己責任がうまく機能していないと思います。一部の消費者は過剰な保護を要求し、そのために規制が強くなる、というのが現在の日本の状況だと思います。海外の生命保険を日本居住者が契約できないというのも、その一例でしょう。
今、日本は世界の中で仮想通貨関連を引っ張っていっている国の一つだと思っています。今後はライトニングネットワークなどでより日常的に使用できるような技術が進展していくと予想されている中で、金融庁と国税局がどのように仮想通貨を扱っていくかをとても注目してみています。
もちろん脱税や犯罪に使うことは良くないですが、利便性向上やイノベーションが阻害されずに日本が世界の仮想通貨をリードする存在になって欲しいと切に願います。
まとめ
色々とニュースを賑わう仮想通貨ですが、既に株や証券では当たり前になっていることが全然できていなかったので、ちゃんとやっていきましょう、ということだと思います。
コインチェック社も私もよく使っていましたし、本件を機に、引き続き利用し続けたくなるような更に素晴らしい会社になることを一利用者として期待します。
安全に便利に仮想通貨が使われて、生活がどんどん変わっていくような未来に向かっていっている、そう信じています。