なぜ分散投資をしたほうが良いのかを「資産を増やす」「資産を守る」の2つの観点から徹底解説

「卵は一つのカゴに盛るな」とか「ポートフォリオ」を考えようなどと分散投資の重要性は様々なところで言われています。

分散投資といっても、どんな投資があり、何から始めればいいの?という方も多いのではないでしょうか。

私も、つい数年前までは会社が用意してくれた確定拠出年金に何も考えずに加入していたのですが、退職後に全く動かせないという事実を知って、きちんと自分で管理していかなければと強く感じました。

マイナス金利の日本から一歩外に出てみると、年利8%などという定期預金金利もあります。ただ9年間預金しておくだけで、利息で2倍になってしまうという利率です。

そもそも分散投資の意義とは?

そもそも、なぜ分散投資をするとよいのでしょうか?

それには2つの意味があります。

1つは、資産を増やすということ。そして、もう1つが資産を守るということです。

資産を増やすための「投資」

投資といえば資産を増やすことだ、というのはなんとなく理解している方も多いと思います。

最近は暗号通貨界隈がものすごいことになっているので、2倍、3倍のリターンを目指す方もいるかと思いますが、投資の世界では年利5%になればかなりの良い成績です。

絶対に知っておきたい「複利効果」

年利5%で10000円を預けておくと、1年後には10500円、2年後には11025円。5年後には12763円10年後には16289円、15年後には20789円になります。

10年間で1.6倍、15年で2倍を超えるのです。ちなみに、このまま続けて30年経過すると43219円と、なんと元本の4.3倍になるのです。

ちなみに銀行の定期預金(2018年現在年利0.01%)で30年間運用すると、10030円です。この差は大きいですよね。

 

5%だから1年で500円増えるだけか、と考えてしまいがちですが、もっともっと増えていくのが複利効果です。

このように、複利効果は長ければ長いほど効果が大きくなるので、投資は早くから始めたほうが良いのです。

 複利計算の72の法則

ちなみに、複利計算には72の法則というものがあります。

難しい計算をすればしっかり導き出せるのですが、「72を年利で割ると2倍になるまでの年数がわかる」と覚えておけば十分でしょう。

年利5%であれば、72÷5=14.4となるので、14.4年で2倍になります。

年利9%であれば、72÷9=8となるので、8年で2倍になります。

 

このように、大きなリターンの見込めるところに投資をしていくことが資産を増やすためには重要なのです。

資産を守るための「分散」を過去の事例から考える

そして、その資産を守るために行うことが分散です。

その分散された組み合わせのことを「ポートフォリオ」と呼びます。

 

「卵は一つのカゴに盛るな」という格言の通り、1つのカゴに全てが入っていれば、そのカゴを落としてしまうとすべての卵が割れてしまいます。

つまり、1つの銀行に全てのお金を預けておき、その銀行が倒産すると全てのお金がなくなってしまいます。

しかし、複数の銀行にお金を預けておけば、全てのお金をなくしてしまうことはないですよね。

それがポートフォリオ(分散)の重要性です。

 

そうはいっても、預金者の資産がなくなることなんてあるの?と疑問を持つかもしれません。

日本の銀行ではペイオフ制度といって、1000万円までは銀行が破綻しても国が保証してくれる制度があります。

それなら安心じゃないか、と思ったあなた、過去の事例を見ていきましょう。

もしあなたがこれらの投資"のみ"をしていたとすると・・・考えただけでも恐ろしいですね。

戦後、預金封鎖を行った日本

第二次世界大戦後、日本は預金封鎖を行いました。以下は、Wikipediaからの引用です。

1946年、第二次世界大戦後のインフレーションの中、幣原内閣において新円切替が施行されると同時に実施された。この封鎖は封鎖預金と呼ばれ、第一封鎖預金と第二封鎖預金に分けられ、引き出しが完全にできなくなるのではなく、預金者による引き出し通貨量の制限や給与の一部が強制的に預金させられるなど、利用条件が設けられた。封鎖預金からの新円での引き出し可能な月額は、世帯主で300円、世帯員は1人各100円であった。1946年の国家公務員大卒初任給が540円であり、それを元に現在の貨幣価値に換算すると、世帯主が約12万〜15万、世帯員が1人各4万弱まで引き出せる。学校の授業料は旧円での支払いが認められていたが、生活費には新円を使うこととなった。最終的に第二封鎖預金は切り捨てられる形となった。

預金封鎖というとわかりにくいかもしれないのですが、簡単に言うと政府が全ての銀行口座に引き出し制限を設けることです。

1946年の日本では、現在の価値換算で月に12~15万円しか引き出せなくなったそうです。

その後、日本経済は"新円"を使うこととなり、"旧円"は全て使えなくなりました。つまり、銀行に残っていた残高は全て使えなくなってしまったのです。

戦争、そして敗戦に伴う巨額の賠償金という背景があり、たくさん発行した国債の発行残高が大きくなりすぎて返済できなくなったため、国民に負担を転嫁したという事実を表しています。

現在の日本も国債の発行残高は年々積み重なっており、誰も買い手がつかなくなってしまえば預金封鎖の可能性はゼロではないのではないでしょうか。

ちなみに、21世紀になってからもギリシャ、キプロスという国で実際に預金封鎖がおきています。

仮想通貨取引所からの流出

仮想通貨取引所に預けていた仮想通貨がハッキングなどの理由により無くなってしまったという事件は報道にも新しいので聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

被害を受けた取引所に仮想通貨を預けていた方は、その資産を失ってしまいました。

2014年には「マウントゴックス」社が、そして2018年に「コインチェック」社による大規模流出事件がありましたね。

どちらも日本の会社であり、日本人にとって決して無視できない事件ではないと思います。

取引所のセキュリティはもちろん年々強化されていきますが、それを狙うクラッカーの手口も年々巧妙になっていくので、絶対に安心という状態は存在しないでしょう。

ソーシャルレンディングの償還停止

ソーシャルレンディングという、一般の個人から広くお金を集めてファンドを組成して企業に貸し付けるという仕組みがあります。

こちらも新しい産業ということもあり、ずさんな審査や担保が問題となって貸しているお金が返ってこなくなったという事例があります。

2017年に「みんなのクレジット」社が償還ができませんと発表し、2018年2月には約10%のお金しか戻ってこないことが発表されました。

当然なのですが、貸した先が倒産してしまったりすると、お金は返ってこないんですよね。

株式の上場廃止

株式の上場廃止もその株券をお金に戻すことができなくなってしまうので、事実上資産を失うことになります。

もちろんその会社が存続している限り株券は有効ですが、上場廃止してしまえば取引所で取り扱われず、その値上がりも見込めず、取引もできない株券を欲しい人もいないことから、誰にも売れなくなってしまいます。

今日本企業は厳しいグローバル競争の波にさらされ、数年前までは優良企業だった企業が外国企業に買収されたりというニュースを目にするようになりました。

為替の変動

最後に紹介するのが為替の変動です。

いま、1ドル100円だったとして、もし日本経済よりアメリカ経済のほうが急速に成長して円安が進み、極端な例ですが1ドル1000円になったらどうでしょうか?

これまでは1万円(=100ドル)で購入できたものが、10万円(=100ドル)出さないと購入できなくなってしまうのです。

海外には行かないから関係ない!と思っているあなたの生活も輸入品ばかりに囲まれているのではないでしょうか?

日本円の価値が下がると、日本円しかもっていない人はすべての物価が上がったように見えてしまうのです。

「国(地域)」「通貨」「商品」「時間」の4つを分散させることが重要!

ここまで読んだ方であればお気づきかもしれませんが、投資の基本は資産を守ることです。

守ることが大前提としてあり、その上で増やすということを考えていきます。

それでは、分散といってもどう分散すればよいのでしょうか?

 

「これからの日本経済は今までのように世界の最先端を走り続けて世界屈指の成長率を誇る」とは思えない時代に行きている私達は、少なくとも以下の分散を行うことで将来のリスクを減らせると考えています。

  • 資産を置く国の分散
  • 資産の通貨の分散
  • 投資する商品の分散
  • 時間の分散。

例えば、海外で銀行口座を開いたり、海外の証券会社を通じて株式やETFなどを購入することは資産を置く国の分散になります。

また、いつも使っている銀行でもドル預金にお金を入れておけば資産の通貨の分散になります。

仮想通貨は国も関係ない新しい通貨なので、この分散の中に入れていっても良いのではないでしょうか。

将来、日本円の価値が下がったり、日本の銀行が潰れたりした時にも、すべての資産を失ってしまわないように「守る」という視点で分散投資を始めてみることをオススメします。

 

次に「増やす」という視点ですが、これは金利を考えると分かりやすいと思います。

ざっくりと言ってしまえば、経済が成長していると、金利は高くなります。

ということは、経済が成長しているところにお金を負いていけば、どんどんお金は増えていくのです。

そう考えるとすべての資産を日本においておくことは現時点では得策ではないでしょう。

もちろん為替リスクや、その国の銀行が潰れるリスクなど、様々なリスクがついてきます。

そのリスクをうまく管理しながら、全体としてリスクを減らしつつ資産を増やしていけると理想です。

 

まとめ

投資なんてまだまだ関係ない、と思っている若い方にこそ早く初めて資産が増える恩恵を感じてほしいと思います。

実は私も、もっと若い時に知っておけばよかったと後悔しています。

「守る」と「増やす」のバランスは本当に人それぞれ。

リスクの考え方も人それぞれ。

日本で生まれた人は日本円があたりまえで、ドル預金と考えると為替リスクなどを考えてしまいます。

しかし、アメリカで生まれた人はUSドルがあたりまえ。円の為替リスクを考えているでしょう。

その中で、どの立場で、どのようなリスクを取って資産を増やしていくか。

そうやって分散投資と向き合っていってほしいと思っています。

給料を稼ぎ始めたら分散投資、というのも極論ではないので、小額から始めて慣れていくようにすると良いでしょう。

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