2018年もまだまだ盛り上がっている暗号通貨事情。
ビットコイン以外の"草コイン"と呼ばれる魑魅魍魎のコインにも投機マネーが流れてきており、一日で10倍などをつける銘柄も出てきました。
投資では「怪しいと言われているうちに買って、皆が買いだしたらバブルなので売る」という鉄則があるのですが、まさに今はバブル状態だと思っています。
そんななか、あまり知識のない人たちのお金が一気に流れ込んできていて、これを利用して儲けることを企む人がいるのも事実。
詐欺案件などもありますが、最近増えているのが「仕手情報」。
良いコミュニティも悪いコミュニティも有るので判断は自己責任でお願いしたいですが、判断するために「仕手」について解説します。
※このチャートは仕手が仕掛けられたのではないかと思うものを見つけてきました。
仕手ってどういうこと?
そもそも「仕手」は投資用語で、簡単に言ってしまえば大量の買いや売りを入れることで価格を操作することです。
ターゲットにされるのは価格も安く注目されていない、材料(上がったり下がったりする要因となるニュース)もない銘柄。
今まで一日100株(コイン)くらいしか売買されておらず、時価総額が1000万円くらいの株式(草コイン)があったとして、そこに対して急に1万株、500万円分の買いをいれたらどうなるでしょう?
一気に価格が釣り上がりますよね。それが「仕手」です。
- 価格を釣り上げる前にバレないように(取引高を増やさないように)、何回かに分けて大量に購入しておく
- 一気に大量の買いを入れて価格を釣り上げる
- 一気に売り抜ける
こうすることで何倍、というリターンを得ることができるのが「仕手」です。
もちろん違法行為であるのですが、暗号通貨はそのあたりの法整備が何もなく、やりたい放題になっています。
(この記事では「仕手」行為の是非について議論するつもりはなく、こういうもの、と解説することを目的としています。)
仕手情報コミュニティで行なわれていること
ここで、仕手情報コミュニティで行なわれていることを紹介すると、
「○○時に△△コインで仕掛けます!」
という情報を流すこと。
これは、上で説明した仕手の手段の「2. 一気に大量の買いを入れて価格を釣り上げる」に相当します。
そして、その情報に群がる人たちはその情報を見て購入します。
もちろんその購入も価格上昇を引き起こすでしょう。
そうして、一気に1時間で10倍!という相場が出来上がります。
もう一度、最初に紹介したチャートを見てみましょう。
仕手が仕掛けられるとチャートはこのように動きます。
そのコインの価値が上がったわけでも何でもなく、仕手情報を知っているもの以外の売買高はかわらないため、すぐに元の価格に急落するのです。
祭りの終わりです。
仕手で儲けるためには?
ここまでを読んで「ん?じゃ、仕手情報で儲けるのは難しい」と思った方は賢明。
そう、価格を釣り上げたら、その高値で売らないといけないのです。
仕手情報を仕掛ける人は、仕掛ける前にこっそりと大量に購入しています。その後、釣り上げるためにさらに大量購入をするはずです。
※情報だけを流して、コミュニティの大量購入を誘い自分では大量購入をしない場合もあると思います。
なんにせよ、取引高の少ないコインを大量に保有しているのです。
そして、価格が一気に上がり始めます。
そうなると、安値で仕入れた高いコインを売らなければなりません。
でも、今まで取引高が少なかったコイン、誰が高値で買うのでしょう??
そうです、素人の皆さんが買うんです。
仕手情報ってねずみ講のようなもの
正確には違うのですが、仕手情報はねずみ講だと考えると分かりやすいです。
仕手では一瞬(1時間~数時間)の間に急激な上昇を見せます。
その上昇の間に、いかに安いうちに手に入れて、急落する前に売り抜けるか。という世界です。
情報を流す、仕掛け人は間違いなく儲けています。
しかし、祭りが終わればそのコインの時価総額、価格はもとに戻ります。
ということは、「仕掛け人の利益 = 参加者全体の損失」となります
もっというと、こうなります。
仕掛け人の利益 = 損失を出した参加者の損の合計 - 利益を出した参加者の利益の合計
仕手情報で儲けることは不可能ではないです。
その情報を得て儲けようとギラギラしているコミュニティの皆さんの中で、早いものが利益を得て、遅いものが損を被るだけです。
「仕手情報コミュニティでみんなで儲けましょう」なんて幻想です。
みんなで設けることはできず、完全なるゼロサムゲームです。
他の参加者よりも1分でも早く買って、暴落前に売れる自信のある、それでも参加したい方は、これを理解した上で参加すると良いと思います。
私は参加しません。
まとめ
私はブロックチェーンや暗号通貨は世界を変える技術だと本気で信じていますし、それ自体が悪いものだとは一切思っていません。
しかし、暗号通貨界隈では本当にたくさんの情報が錯綜しており、法規制もないので金融を知っている人が見たらあり得ない行為が蔓延しています。
そこに何も知識を持たない人が大量参入してきていて、騙されるケースが多いのは事実としてあり、それで暗号通貨の評判が下がってしまうのは非常に残念です。