副業やフリーランスをやるなら知っておくべき「所得税」の概要と計算方法

副業など始めようと思っても、税金の申告とか大変そうだし、年金とか自分で払うから結構お金がかかる、そう思っている人も多いのではないでしょうか。
実は一番小さなコストで個人事業を運営しようとした場合、ほぼ無料で運営できるんです。

税金、年金、健康保険という観点がある中で、今回はこの所得税についてフリーランスを始める人が最低限知っておいたほうが良いことをお話します。
(本記事の内容は令和2年度時点です)

「事業所得」を計算するのが所得税の全て

所得税を計算するためには所得を計算する必要があります。
所得と聞くとイメージしやすいのは事業所得、つまり、利益でしょう。

事業所得 - 売上 - 経費

所得税はこの事業所得から所得控除を控除した、「課税所得」という所得について課税されることになっています。

課税所得 = 事業所得 (+給与所得) - 各所得控除
課税所得 = 売上 - 経費 - 各所得控除 (+給与)

となっています。

そして、この課税所得の金額によって税率が変わります。

課税される所得金額税率控除額
195万円以下5%0円
195万円を超え 330万円以下10%97,500円
330万円を超え 695万円以下20%427,500円
695万円を超え 900万円以下23%636,000円
900万円を超え 1,800万円以下33%1,536,000円
1,800万円を超え4,000万円以下40%2,796,000円
4,000万円超45%4,796,000円

参考:国税庁ウェブサイト

令和19年度までは、これに復興特別所得税2.1%が追加されます。

課税所得 = 売上 - 経費 - 各所得控除 (+給与)

ですので、税金を減らすためには経費をしっかり計上することと、所得控除を有効活用することです。
嘘の経費を計上するなどすることは脱税となり絶対にやってはいけないことです。

正しく制度を知って正しく申告するようにしましょう。

所得控除とは

所得控除には、全部で15種類の所得控除がありますが、多くの人に関係する代表的なものは以下の通りです。

  • 基礎控除
  • 青色申告特別控除
  • 配偶者控除
  • 扶養控除
  • 生命保険料控除
  • 小規模企業共済等掛金控除

基礎控除

この中で基礎控除は全ての人が受けられる控除で、2019年までは全員一律で38万円だったのが、所得が2400万円以下の場合は48万円、それ以上の場合は0~32万円なりました。
これにより、高額所得者の納税負担額が上がった一方で、所得が2400万円以下の人としては減税になっています。

青色申告特別控除

青色申告特別控除は、青色申告を行うという申請を行った上で青色申告を行うことで65万円の所得控除を請けることができます。
こちらも、その手続を踏めば誰でも控除が受けられますので、先ほどの基礎控除と合わせると113万円が控除されることになります。

配偶者控除

配偶者の年間所得額が38万円以下(給料のみの場合は103万円以下)であれば配偶者控除が受けられます。
所得900万円以下の場合は38万円、それ以上の場合は0~26万円
配偶者の年間所得学が38万円~123万円の場合は配偶者所得控除という控除が受けられ、その所得金額によって1~38万円の控除が受けられます。

このあたりの法律は2018年に改正されたばかりでして、毎年何らかの変更があることがあるので古い情報を参考にしないように注意してください。

扶養控除

年間所得額が38万円以下(給与のみの場合は103万円以下)のものを扶養している場合は扶養控除が受けられます。
16歳以上の人を扶養している場合は1人について38万円ですが、
19~23歳場合はこれが63万円
70歳以上の場合は48万円
同居している直系尊属の場合は58万円
が控除されることになっています。

なお、16歳未満の子供については児童手当が支給されることから、扶養控除の対象から外れています。
扶養控除で納税負担額を減らす以上に、児童手当として支給されているためです

所得控除額計算の例

色々あってややこしいのですが、たとえば
独身の場合の控除額は基礎控除+青色申告特別控除 = 113万円
所得38万円以下の配偶者がいる場合は基礎控除48万円+青色申告特別控除65万円+配偶者控除38万円=151万円
配偶者、70歳以上の両親(2人)、大学生(19~23歳)の子供1人がいる場合は、皆が所得38万円以下だとすると
基礎控除48万円+青色申告特別控除65万円+配偶者控除38万円+扶養控除63+58万円=272万円
となります。

所得税は事業所得、つまり利益から、この所得控除を引いた課税所得に対してかかることになっています。
実は住民税は各所得控除の金額が微妙に異なるのですが、申告の際は自動的に計算してくれるツールがあるので細かい控除額を覚えておく必要はありません。
とりあえず納税額として、ざっくり利益からこのくらいの所得控除があり、それを引いた課税所得に対して累進課税されてくると考えてもらえれば十分だと思います。

所得税の計算例。ざっくり計算できればOK!

例えば年間の利益が800万円で、所得控除が113万円だったとすると課税所得は687万円となります。

その場合の所得税額を、所得税率表を参考に計算をすると
687万円×20% - 427,500円 = 946,500円となります。

更に住民税が10%かかるので、150万円程度の納税額になるでしょう。
このくらいの利益であれば、所得金額から考えて大体30%弱が税金になるというイメージです。

この所得税と住民税を自分で納税する必要があるので、しっかりと納税できるように現金を残しておく必要があります。

確定申告の際には国税庁のウェブサイトではある程度自動的に計算してくれますし、
実際の申告時に細かい数字を確認することになると思いますので、数字を覚える必要は一切ありません。
ただ、ざっくりとこのくらいの納税が必要になる、それだけ覚えておいてもらえればよいかと思います。

具体的な会計や確定申告の方法についてはまた別の記事で解説いたしますので、そちらを見ていただければと思います!

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