フリーランスの皆様、契約書、作ってますか?
- 面倒だから作ってないよ
- 契約書がなくても仕事はできるよ
という声も聞こえてきますが、契約書は自分を守るために作るという意識を持ちましょう。
私も契約書を結ばないが故の失敗をたくさん経験してきました。
これから自分のビジネスを始める方にはそんなつらい思いはしてほしくない、と強く思っています。
サクッと読める目次
契約書の役割:なぜ契約書が重要なのか
そもそも、契約書は何のために作るのでしょうか?
- 契約時に合意した内容を書面として残しておくため
- 契約にあたっての禁止事項を明確にするため
- 契約を終えるときの条件を明確にするため
- トラブルが起きた際のことをはっきりさせるため
などの理由があります。
1. 契約時に合意した内容を書面として残しておくため
これはわかりやすいですね。
例えば、ウェブサイトを作るという契約であれば「○月○日までにこんなウェブサイトをいくらで制作する」ということを書きます。
その際に、制作にあたっての情報を誰がどのように提供するのか。
写真であれば、撮影が必要なのか。それとも、依頼者から提供されるのか。その場合の著作権が問題ないかどうか。
文章であれば、取材が必要なのか、執筆が必要なのか、それとも、依頼者の文章を載せるのか。
情報を提供してもらう場合はいつまでに提供してもらうのか。それが遅れた場合は納期がどう変わるのか。
ページ数や、デザインに対する要件なども決まっているものがあればできるだけ明記しておきましょう。
後から「え、これもやってくれるんじゃなかったの?」と、思い違いによりお互いに不信感が残ることのないように、作業範囲とその内容を明確にしておくことが重要です。
2. 契約にあたっての禁止事項を明確にするため
契約にあたっての禁止事項も明確にしておくべきです。
他社の著作物を利用しないことだったり、契約を通じて知り得た情報を漏洩しないことだったり、お互いやめてほしいと思うことを契約書に明記するようにしましょう。
お互い悪気がなくても、知らないがゆえに相手が嫌がることをしてしまうこともあります。
契約書に明記してあれば、無用なトラブルを避けることができます。
3. 契約を終えるときの条件を明確にするため
契約の終了条件も明らかにしておきましょう。
うまく言って終了する条件もあれば、物別れになって終了する条件もあるはず。
受託制作の案件であれば「納品後7日以内に検収をし、納入後同期日に欠陥の申立がない場合は検収したものとみなす。」「納品後の修正は1回までとする」のような文言です。
いつまでもダラダラと修正が入ってくるようでは、いつまでたっても次の仕事に進めません。
また、どちらかが契約に違反した場合に案件を終了することも明記します。
さらに必要に応じて違約金や今後の取引を禁止するなどの条項を設ける場合もあります。
逆に、「契約終了日の1ヶ月前までにどちらかから書面での申し出がない限り、契約を1年間更新する」のように自動更新を定めることもあります。
4. トラブルが起きた際のことをはっきりさせるため
最後にトラブルになったときのことも契約書に明記します。
といっても、ここはほとんど定型文のような形で「お互いが誠意をもって協議する」「解決しない場合は○○地方裁判所を管轄とする」という文言が入ります。
定型文といっても、契約書の一部ですし、お互いが合意して署名する必要がありますので、この条項があるのにもかかわらず「誠意を持って協議しない」場合などがあれば、契約違反とすることができますし、もし裁判になったときに有利に働きます。
信頼している仲間だからこそ、契約書を作るべき
では、契約書はトラブルにならないような相手であればいらないのでしょうか?
決してそんな事はありません。
まず、残念ながら、未来永劫トラブルにならない相手など存在しません。
今は永遠に一緒にビジネスをやろうと誓っていたとしても、小さな思い違いから物別れになるケースは古今東西たくさんあります。
そして、「その小さな思い違い」を起こさないために重要なのが契約書なのです。
一度は「一緒にビジネスをしたい」と思った仲間と別れるのは、とても悲しいですよね。
正直、私にもそんな事があり、とっても悲しかったです。
信頼しているからこその、長く関係を続けるための契約書なのです。
もし「私達の関係は契約書なんていらないよ」と相手が言っているのであれば、率直に関係を長く続けていくために必要であると伝えて契約書を作成するのがおすすめです。
条項が少ない(=縛りの少ない)契約書であればお互い受け入れやすいはずです。
契約書よりお互いの信頼が大事という詭弁
「お互いの信頼が大事だし、信頼が無くなったらどうせビジネスも終わるんだから契約書なんて意味ない」と言ってくる大人が多いので要注意。
だいたいそういうことを言ってくる人は、あなたを搾取する対象としか見ておらず、長期的に発展していくビジネスパートナーとは思っていないのではないでしょうか。
私も口約束で仕事をしたことがあり、1年位はうまく言っていたのですが、その後には「そんな事は言ってない」とか「伝え方と認識に齟齬があったかもしれない」と言われて一方的に顧客を奪い取られたことがあります。
その後は連絡が帰ってこないようになり、とても「誠意を持って協議」をする気もなさそうです。
そういうことをする人だったのか、と諦めるしか無いのですが、一度信頼した仲間だと思った人からそういう言葉をもらうのはとても辛いものです。
これも、書面でお互いの立場を合意しておけば防げたと思いますし、その後の対応も大きく違ったのではないかと思います。
他にも、納期が1ヶ月のプロジェクトで全てのデータが揃ったのが終了5日前だったということもありました。
結局納期はずらしてもらうことができたのですが、その次にジョインする予定だったプロジェクトには大きく迷惑をかけてしまいました。
これも、相手のスケジュール感が「1ヶ月くらい延びても困らない」というものだったのですが、私は次のプロジェクトが控えており、そこのすり合わせができていなかったのです。
定型文通りの契約書を作っておくだけでも、この立場の違いは簡単に解消できたと思います。
「契約書なんて無くても良い」というのは明らかに強者の理論です。
いつでも契約を解除できるように、そして、不当な要求を呑ませるためにそういうのです。
お互いのことを尊重していれば、契約書を作ることを拒否する理由はどこにもありません。
契約書、作ろうぜ!
私も、駆け出しの頃は契約書はただ面倒なものだと思い、作らずにいた時代がありました。
相手を信用していない、というメッセージにもなりかねないと思い、契約書なんて無くても良いと思っていたのですが、そのせいで何度も失敗しました。
正直、今も契約書を結んでいない継続の仕事もあるのですが、少しづつ契約書を提示するようにしています。
契約書を作って、長期的に良い関係を築いていきましょう!